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モノづくり用語解説 | 本記事は 3 分で読むことができます
製造業におけるABC分析とは?
執筆者:レクサー・リサーチ マーケティング 山上玲奈(やまがみ れいな)
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世の中にデータが溢れかえっており、どこに注目し、何を重視すればよいのかがわからない、という悩みを抱えたことはないでしょうか。データを収集したとしても、それを活用できていないと意味がありません。この記事では、複雑なシステムや難しい理論の前に、シンプルで有用な分析手法である、ABC分析の仕組み、「A」が意味するもの、そして優先順位を決めるのに役立つ方法について簡単にご紹介します。
ABC分析とは?
ABC分析とは、売上・売上数量・在庫金額・回転率などの指標から企業内で重視するものを決定し、商品をその指標に沿って「A」(最優先)、「B」(第二優先)、「C」(最下位)の3グループに分類する方法論です。場合によっては、「D」項目も含まれることがあります。
様々な指標がある中で、どれに着目して優先的に管理するべきかを決めることが重要です。売上高、販売数量、販売利益などを重要度順に並べることで、経営上の優先順位を明確にできます。
ABC分析は、重点分析と呼ばれることもあり、多種多様な商品を、定義した指標をもとに、重要度・優先度を決定することで、効率的に管理できます。
ABC分析は、日々の業務から長期的な戦略まで、企業経営に影響を与える業務の優先順位付けに最適なツールです。製造業(生産までに複数の工程・部品等が存在する)や、顧客からの注文を大量に扱うビジネス(特に大量生産の場合)で、最もよく適用される方法です。
ABC分析の具体例
では、この手法は実際のビジネスにおいて、どのように機能するのでしょうか?
多様な商品を取り扱っている製造会社を例に考えてみます。
今回は、売上高と、売上数量の2軸を基に、ABC分析を実施したとします。2軸による分析なので4象限をA~Dに分類します。
・Aグループ・・・売上高上位70%に属し、売上数量下位30%に属する品目
・Bグループ・・・売上高上位70%に属し、売上数量上位70%に属する品目
・Cグループ・・・売上高下位30%に属し、売上数量上位70%に属する品目
・Dグループ・・・売上高下位30%に属し、売上数量下位30%に属する品目
多くの場合、「A」グループは最も売上貢献が高いが、売上数量は少ない(=単価が高い)商品で構成され、これらはしばしば「ホットアイテム」と呼ばれています。「B」グループは、売上貢献は高く、売上数量も多い(=単価は低い)商品で構成されています。「C」グループには、売上貢献は低いが、売上数量は高い商品が含まれます。最後に、「D」グループには売上貢献も低く、売上数量も少ない商品で分類されます。
それでは、それぞれのグループの品目の特性について見ていきましょう。
Aグループ:高額品
少ない数量で、多くの売上をあげているAグループは、「高額品」になります。
高額品に分類された品目については、在庫を多く抱えてしまうと、捌くのに時間がかかり、余剰在庫を抱えることになります。そのため、在庫はなるべく抱えずに、販売計画と連動して発注をコントロールするのが望ましいです。
つまり、 このグループの商品は受注組立生産にする方が見込み生産よりも在庫適正化を図れます 。
材料や部品については、生産計画をベースに必要量のみを購入したほうが良いでしょう。生産計画のブレに対応しようと、余剰在庫を増やさないようにする運用を心がけましょう。
Bグループ:主力品
売上高が高く、売上数量も多いグループが「主力品」となります。
このグループについては、高額品とは異なり、 ある程度の在庫を抱えて欠品はさせないことが管理のポイントになります 。手間をかけてでも、可能な限り需要と連動させて過剰、欠品を発生させずに在庫回転率を高めるべく、コントロール出来ることが望ましいです。
また需要の変動が激しい商品が多いのも特徴なので、短いサイクルで定点観測し、Cの普及品やDの裾野品に変化していないかをチェックしましょう。
製造業の場合であれば、ここに分類される品目は季節などによって、需要のばらつきが大きいものが多く、安全在庫が他と比べて多い傾向にあります。
製品であれば、見越生産から受注生産に切り替えるような対応であったり、部品等の材料であればロット生産になっていないか確認し、生産計画を均等化するといった改善が求められます。
Cグループ:普及品
売上高が低く、売上数量が多い品目が「普及品」となります。
薄利多売な商品が分類されやすいので、手間をかけずに在庫・発注管理を効率化させることが望ましいです。
需要の流行り・廃りに一番影響されやすいグループになるので、発注は短サイクル、小ロットで行うようにしましょう。また定点観測を実施することで、Dの裾野品になる可能性が高いものは、早めに廃版を検討するなど、在庫の抱え込みをさける手立てを打てると良いでしょうか。
Dグループ:裾野品
売上高が低く、売上数量も少ない品目が「裾野品」となります。裾野品には、大きく二つの商品が分類されやすいです。
1つは、そもそも需要が減少傾向にあり、これ以上の売上が見込めない死蔵品です。もう一つがAの高額品、Bの主力品の販売を支える位置づけの商品(オプションの付属品や補修パーツなど)です。
よって、単体での売り上げは低いものの、販売戦略のために用意されている品目と、死蔵品とを分けて管理を行う必要があります。
死蔵品については、廃版や在庫の廃棄等を検討する必要があります。廃盤にしない場合でも、在庫として保有するリスクを考慮すると、生産リードタイムがかかってしまうものの、見込み生産から受注生産に切り替えることを検討しましょう。
ABC分析のメリット
具体例を見て頂いた中で、見えてきているかと思いますが、 ABC分析のメリットは、商品を個別に見るのではなく、グルーピングすることで全体を俯瞰して見ることができる点です。 また、グループごとに効率と収益性を最大化するための戦略であったり、どの分野に注力すべきかを判断するのにも役立ちます。以上の2点からABC分析がいかに少ない労力で効率的にデータを活用するのに役立つかが分かるかと思います。
上記の通り、優先度によって商品をグループピングすることで、企業は日々の業務の中でより良い判断を下すことができるようになります。そしてこの手法はシステムを必要とするわけでもなく、非常に簡単に取り組むことが出来る点も大きなメリットです。
ABC分析の必要性
ABC分析は、ビジネスリーダーにとって価値あるツールになりえます。リーダーに求められているのは、企業活動において、情報を整理し、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができる能力です。しかし、ただ多くの情報をやみくもに集めるのではなく、必要なデータを吟味し、絞り込むことも重要です。これは当たり前の経営手法のように思えるかもしれませんが、多くのリーダーはこれを一貫して行う時間を取れない現状があります。ビジネスを変化させ、成長させるために必要な分析として、ABC分析は必ず体得すべきです。
この分析手法を用いることで、ビジネスに関するより良い情報に基づいて、より効果的に優先順位をつけることが出来ます。 これによってより効率的に企業の成長に向けた戦略を考える時間を確保できます。
ABC分析の一歩目
では自社でABC分析をする場合、何をターゲットにし、どのように分析すればいいのでしょうか?
この手法はいろいろな使い方ができますが、具体例でも見た通り、特定の対象(製造業だと商品がメインになります)をグループ化し、横に並べて比較することで、データ(情報)を活用させることがメインになるので、まずは、何を軸にするかを決定することが一歩目になります。
例えば、具体例でもあがった、売上高、売上数量に加え、製造リードタイム、製造コスト、単価、在庫回転率などを軸にデータを整理できます。
軸となるデータ(売上高など)を決定したら、優先順位の高いグループから、特徴の整理を実施し、生産方式や在庫管理の戦略を決定することが重要です。これによって、無駄な工数を割くことなく、企業へのインパクトが大きなものから取り組むことが出来ます。
まとめ
ABC分析とは、重要な指標(売上高や売上数量など)を定義し、その定義に照らし合わせて対象(商品など)の優先度を決定する手法です。製造業においては、A~C(もしくはD)に分類した商品に対して、それぞれの在庫管理などの戦略を分けることで、効率的な管理を実現できます。
やみくもにデータを集めるのではなく、必要なデータをしっかりと分析することで、忙しいリーダーが素早く意思決定をすることが可能になります。