管理職のための GDfindi 基礎講座 #2

前回の【管理職の為のGDfindi基礎講座】ではGDfindiを採用すると従来の生産シミュレーションの使い方を離れ、GDfindiのコツをつかんだ使い方をされると業績を大幅に伸ばすことが出来るとご紹介しました。

本投稿ではGDfindiの活用の仕方についてご説明します。

前回の【管理職の為のGDfindi基礎講座】ではGDfindiを採用すると従来の生産シミュレーションの使い方を離れ、GDfindiのコツをつかんだ使い方をされると業績を大幅に伸ばすことが出来るとご紹介しました。そしてその理由はGDfindiの特性にあることをご説明し、次の特徴をリストアップいたしました。

•           GDfindiの応用範囲は従来型シミュレーションの約20倍ある

•           使い方次第で、シミュレーションコストが従来型シミュレーションの1000分の1以下になる

•           コピペと編集が出来るので、シミュレーションの回数を重ねるごとにシミュレーションコストが安くなる

•           構造化されたGDfindiモデルはモデリングの自動化を可能にする

•           ギルダーの法則を使い「逆転の発想」をしよう!

•           構造化がプログラミングレスで誰でも簡単に学習できるモデリングを可能にする

•           現場の力を引き出すリアルタイムシミュレーションが現場を活性化する

本投稿ではGDfindiの活用の仕方についてご説明します。

シミュレーションを理解する

管理職のための GDfindi 基礎講座 #2

シミュレーションの定義はウィキペディアで検索致しますと【何らかのシステムの挙動を、それとほぼ同じ法則に支配される他のシステムや計算によって模擬すること】とあります。この場合「何らかのシステムの挙動」はシミュレーションの対象です。

本投稿の場合、それは何らかの生産システムであり、ここではターゲットと呼ぶことにします。そして、「それとほぼ同じ法則に支配される他のシステム」はシミュレーションモデルを意味します。また「現実を模擬した結果」がシミュレーション結果です。「模擬」ということは、シミュレーションモデルが現実を決して正確に再現していないことを意味します。生産シミュレーションの目的は「生産システムの挙動を模擬する」となります。

生産システムの「挙動」とは、システムへ何らかのインプットを与える際に発生するシステムのリアクションを意味します。挙動は「点」「線」「面」若しくは「多次元の解空間」として表すことが出来ます。「点」を表現する為には1回のシミュレーション結果が必要ですが、システムの挙動を再現したとは言えません。「線」を表現する為には、少なくとも2つの異なったシミュレーション結果が必要であり、「面」には最低3つのシミュレーション結果が必要です。空間を表現する為には最低4つのシミュレーションが必要です。「多次元解空間」の場合は解空間を構成するパラメータの数が「n」としますと、多次元空間を表現する為には、少なくともパラメータの最大値と最小値が必要です。

例えばnが3としますと、各パラメータの値は、120回のシミュレーションで下位空間の挙動を表すことが出来ます。パラメータ毎に3つの値が必要であれば、20,160回のシミュレーションが必要となります。GDfindiでは、このような多次元解空間を設定し、多目的最適化問題をシミュレーションで解くことが可能です。

シミュレーションの種類

現在生産シミュレーションには2つの種類があります。

⁃     単発シミュレーション(一つのシミュレーションモデルしか経済的にシミュレーション出来ない)

⁃     連発シミュレーション(複数のシミュレーションモデルのバリエーションをシミュレーション出来る)

 

前者の単発シミュレーション結果しか経済的に可能でないシミュレーションはシミュレーションモデルのコピペと編集が経済的に可能でないシミュレーションで、主に従来型生産シミュレーションがこのカテゴリーへ属します。勿論従来型シミュレーションでも連発は技術的に可能ですが、コストがかかるために、それを可能にする予算を提供できるプロジェクトが事実上存在しません。

 

従来型シミュレーションでは主にライン生産方式の生産システムのシーケンスをシミュレーションで表現して、PLCプログラムの検証に採用されます。オフラインで事前にPLCプログラムの検証が可能ですと、立ち上げの際に生ずるラインの停止時間を削減することが出来ます。ある大手従来型生産シミュレーションのエキスパートが大学の講義に使った資料には「プロジェクトの総投資額の1%をシミュレーションプロジェクトに割り当て4%に相当する立ち上げの際のライン停止時間コストを削減する」のが従来型シミュレーションの役割であると説いています。ラインの停止時間がシミュレーション経費を正当化できる大型プロジェクトは自動車業界以外になかなかありません。これが、従来型シミュレーションが普及しない理由です。

 

それに対してGDfindiはシミュレーションモデルのコピペと編集が簡単経済的に実現しますので、システムの挙動をシミュレーションして、最適値を求めることが出来ます。そしてシミュレーションコストが圧倒的に低い為に、従来型シミュレーションでは経済的に届かない生産システムの最適化が可能になります。

 

管理職のための GDfindi 基礎講座 #2

連発のシミュレーションの使い方には次の2種類があります:

シリアルシミュレーション

シリアルシミュレーションの場合は、ある仮説をモデル化し、そのシミュレーション結果を検証します。そこで得た、理解を基に新たな仮説を立てて、さらにモデルを編集するサイクルを重ね、目標へ近づくプロセスを示します。

 

新しい生産システムのコンセプトを確立する場合、コンセプトをモデル化してシミュレーション結果を評価して、評価結果に基づきモデルを改良しシミュレーションを積みます。この場合モデル編集に必要な時間がプロセスの生産性を左右します。例えば生産システムの一部の配置換えがプロジェクトの対象の場合、レイアウトのバリエーションを数分単位で編集することがGDfindiでは可能です。関係者がミーティングルームに集まりシミュレーション結果を見ながら最適レイアウトを求める、従来では考えられない高い生産性と高いレベルの結果が実現します。そしてシミュレーション結果から簡単に説得力溢れる企画書が生まれます。

 

シミュレーション結果と生産シミュレーションの実効値が異なる場合は、シミュレーションモデルが基づくユーザーの生産シミュレーションの知見に何か足りないものがあり、モデルに反映されていないことを意味します。シミュレーション結果と実行値を照合すると、誤差が生まれる原因の場所と時間が特定できます。誤差が生じる原因を解析し、モデルに考慮しますと誤差が縮まります。そして生産システムの理解が深まるわけです。

CPS(サイバー・フィジカル・システム)の概念で「学習する工場」と言う言葉があります。学習する工場では上記のようなプロセスを繰り返し、新しい生産システムの使い方にチャレンジすることを意味します。ある製造現場でシミュレーション結果と実行値がどうしても合いませんでした。そこで現場の作業員に問い合わせると、彼はラインの上流で「半製品がある場所を通過する」ことをトリガーに使い組み立ての準備に入っていました。このトリガーをモデルに考慮すると、シミュレーション値と実効値が合致しました。

パラレルシミレーション

パラレルシミレーションの場合は、複数のパラメータが構成する解空間を定義して、解空間の中でパラメータを振って、解空間の中のターゲットシステムの特性をシミュレーションします。パラレルシミュレーションの代表的な例は、多目的最適化問題です。

すなわち複数のパラメータの相反するパラメータでシミュレーション結果をもとに最適値を求める手法です。この手法はシミュレーションの編集とパラメータのバリエーションが簡単にで出来ないと経済的に成り立ちません。現在GDfindiが業界で唯一の経済的なパラレルシミュレーションを可能にした生産シミュレーションです。GDfindiはユーザーが複数のパラメータを選択して解空間を定義し、解空間内シミュレーション結果の密度を指定すると、自動的に任意のシミュレーション結果を作成します。数百、数千若しくは数万のシミュレーション結果を作成すると、膨大なコストが発生するとご心配されると思いますが、心配はご無用です。シミュレーション結果に占めるコストの大半はモデリングコストです。

GDfindiはモデルの再利用と自動編集を可能にしていますので、複数のモデルバリエーションのシミュレーション結果を出す為には主に演算時間しか発生しません。ご承知のように生産シミュレーションの領域で演算時間のコストは驚くほど低いのが現実です。そして演算コストはムーアの法則に従い今後ますます安くなります。

まとめ

本記事では、シミュレーションの基本をご説明しました。要点をまとめますと下記のようになります。

  • シミュレーションの目的はターゲットの挙動を再現すること
  • シミュレーションはターゲットを「点」「線」「面」そして「解空間」で表現する
  • 「点」以外の表現には複数のシミュレーション結果が必要
  • 連発シミュレーションを経済的に実現する為にはコピペと編集の経済性が要求される
  • GDfindiはコピペ&編集の経済性を実現している
  • 連発シミュレーションにはシリアルとパラレルの2タイプがあり、それぞれ用途が違う
管理職のための GDfindi 基礎講座 #2

次回は「仮想実験」もたらす、エンジニアリングの革命についてご説明し、シミュレーションの使い方をさらに追求いたします。

管理職のための GDfindi 基礎講座 #2
Ando Mahito

中学時代にドイツに渡航。カールスルーエ工科大学にて、機械工学を専攻の後、PhDを取得。卒業後は、シーメンス社やボッシュグループにて、プロジェクトマネジメントおよび経営企画、社内コンサルティングに携わる。

現在では、株式会社レクサー・リサーチ、フラウンホーファー財団IPA研究所と共同開発契約を結び、シミュレーション系最大手エンジニアリング会社と協力関係構築​から生産シミュレータGD.findi のドイツ市場開拓に従事。

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