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製造業における売上原価の基礎知識

執筆者:レクサー・リサーチ マーケティング 山上玲奈(やまがみ れいな)

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【今さら聞けない】製造業における売上原価の基礎知識

売上原価の計算方法は企業規模に関わらず知っておく必要があります。そこで、本記事では売上原価の基礎知識について解説します。

売上原価とは?

売上原価とは、企業が製品を販売するためにマーケティングやその他の費用に費やした金額の合計のことです。「売上原価」、または「COGS」とも呼ばれます。

売上原価は、企業の製品を販売するのに関連するすべての費用を合計することによって計算することができます。これらのコストは、出荷、広告、手数料、および顧客に製品を得るために関連するその他の費用も含めることができます。

売上原価の例

– 広告宣伝費

広告は高価になることが多いですがそれはマーケティング戦略に必要なものです。企業は、ターゲットとする顧客にリーチするために、テレビ広告やインターネット広告に投資することがあります。

 

– 人件費

ビジネスを動かすには人の力が不可欠です。人件費には、従業員に支払う給与等が含まれます。

 

– 仕入

例えば小売店であれば売る商品を仕入れる必要があります。これは直接的に売上に関わるため、売上原価に含まれます。

売上原価の分類

売上原価は、企業が製品を販売することによって発生する費用である。売上高から粗利益を差し引いて計算されます。売上原価は、大きく3つに分類することができます。

1)直接費とは、材料費や人件費など、製品の製造・販売に直接関係するものです。

2) 間接費とは、家賃や光熱費など、特定の製品に直接関連付けることができず、会社全体に関わる費用です。

3)販売費とは、広告宣伝費や手数料など、製品を販売する際に発生する費用です。

売上原価は、企業が在庫の収支を合わせるために、あるいは利益を出すために、どれだけ売らなければならないかを把握するために重要です。

売上原価と製造原価の違い

【今さら聞けない】製造業における売上原価の基礎知識

売上原価と製造原価には大きな違いがあります。製造原価とは、ある商品を生産するために必要な金額の合計のことです。これには、原材料費、人件費、その他製品を作るために必要なあらゆる経費が含まれます。

一方、売上原価は、企業が製品を顧客に販売する際の価格を指します。マーケティング、流通、製品・サービスの販売に関わるすべての費用が含まれます。

この2つの用語は、どちらも商品やサービスの販売に関連するコストであるため、ビジネスコミュニケーションにおいて同じ意味で使われることがよくあります。しかし、どちらの用語を指しているのかを明確にしたい場合は、正しく使用することが重要です。

 

製造業で売上原価を計算するメリット

製造業は常に収益性を向上させる方法を模索しています。その一つの方法が、製造業における売上原価の計算です。

製造業において売上原価を計算することの利点は、以下の通りです。

-価格設定についてより良い決断を下すのに役立つ。

-製品を過剰生産したり、過小生産したりしないので、経費を節約できる。

-生産上の問題とその原因を特定するのに役立ちます。

-資源をより効率的かつ効果的に使用できる分野を特定するのに役立つ。

売上原価を計算する目的

企業の売上原価を知ることは、その企業がどの程度利益を出しているかを判断するのに役立ちます。製造業においては、企業の収益性を判断するために重要な情報です。

 売上原価を計算する目的は、企業が売上分析や利益を推し量ることを可能にすることです。 

売上原価を計算する方法

【今さら聞けない】製造業における売上原価の基礎知識

売上原価は、どの企業にとっても重要な指標です。先ほども述べたように売上原価は、企業の顧客獲得費用、を推し量る指標でもあります。

 

売上原価を計算するためには、次のことを考慮する必要があります。

1. 商品売上原価

2. 売上総利益

3. 営業費用

4. 販売費及び一般管理費

5. その他の収益(または費用)

2つの計算モデル

製造業の売上原価の計算には、伝統的な原価計算モデルが2つあります。吸収原価計算と変動原価計算です。

吸収原価計算では、生産時や販売時に実際に発生しないコストであっても、すべてのコストは製品間で配分されると仮定します。つまり、減価償却費、利息、家賃などの固定費と、材料費、労務費などの変動費が配分されるのです。変動費計算では、生産・販売時に発生した変動費のみを製品に配賦するので、固定費は全く配賦されません。

新しい原価計算モデルは、製品ラインごとの真の収益性に焦点を当てたものです。

売上原価の計算方法

製品の売上原価は仕入原価とほぼ等しくなりますが、商品の売上高のみが計上されます。

例えば仕入れたものの売れなかった商品などの棚卸資産は、仕入価格から差し引く必要があります。

 

1,000円の商品を1個500円で100個仕入れたが、10個しか売れなかったと仮定します。

“仕入高=売上原価 “では、この例では利益が大きくマイナスになってしまうので、売上原価は次のように計算されます。

 

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

 

まず、原価計算期間の開始時に、商品の仕入高を期首在庫に加えます。

そして、そこから期末商品棚卸高を差し引いて売上原価を計算します。

まとめ

結論として、製造業における売上原価は、様々な要素が絡んでくるため、複雑なテーマであることがわかります。なぜなら、売上原価は、企業が製品を生産するために必要な材料や消耗品にいくら費やしているかを理解することや年末に他のものに投資するための資金がいくらあるかを知るのにも役立ちます。