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製造業で使われるITシステムとは?まとめて解説
執筆者:レクサー・リサーチ マーケティング 山上玲奈(やまがみ れいな)
無料ガイド: 製造業の生産性を低下させる要因とITソリューションができること
製造業では、設計を支援するCADから生産活動を管理するMESまで様々なITシステムが使われています。そこで、本記事では製造業で使われるITシステムについてその分類と活用シーンについてご紹介いたします。
製造業務と各種 ITシステム
製造業では以下の2つの流れがあるといわれています。
① サプライチェーン:材料(もしくは部品)が製造というプロセスを経て顧客の手に届くまでの流れ(画像では、青枠に囲まれた流れ)
② エンジニアリングチェーン:部品開発から始まり、設備開発や設計、製造を経て製品が完成する流れ(画像では、赤枠に囲まれた流れ)
また、それぞれの業務領域では様々なITシステムシステムが使用されており、下図にあるものはそれらの代表です。
エンジニアリングチェーンの視点で使われるITシステム
エンジニアリングチェーンでの業務範囲を大きく分類すると、原価企画・製品設計・生産準備・ライン立ち上げ~量産の4段階にわけることができます。また、それぞれの業務で発生する意思決定の項目とそれを支援するITシステムは以下の通りです。
業務内容 | 意思決定項目 | 意思決定者 | 業務を支援するITシステム(例) |
原価企画 | ① 製造原価(計画)の決定 | 経営層 /商品企画部門 | ・原価管理システム |
製品設計 | ② 意匠の決定 ② 部品構成(BOM/EBOM)の決定 ③ 部品形状の決定 ④ 性能(強度、その他)の決定 | 設計部門 | ・ERP ・CAD ・CAE ・CAT |
生産準備 | ① 工程表(BOP)の決定 ② 加工法・加工設備の決定 ③ 工場ラインレイアウトの決定 ④ 必要人工の決定 ⑤ 必要生産資源(台車など)の決定 ⑤ 内外注区分の決定 | 生産技術部門 | ・PDM・PLM ・DMU(Digital Mockup) ・設備シミュレーション ・CAM |
ライン立ち上げ~量産 | ① 生産スケジュールの決定・管理 | 製造部門 | ・生産管理システム(MES等) ・生産スケジューラ ・仮想試作シミュレーション |
サプライチェーンの視点で使われるITシステム
サプライチェーンの視点では多くの業務と意思決定項目が存在しますが、それらを分類すると長期的・中期的・短期的の3段階にわけることができます。そして、それぞれの意思決定項目とそれを支援するITシステムは以下の通りです。
レベル | 意思決定項目 | 意思決定者 | 業務を支援するITシステム(例) |
長期的(:戦略的) | ① 工場の設置位置の決定 ② 工場の生産能力の決定 ③ 工場のラインレイアウトの決定 ④ 生産設備の購入計画の決定 ⑤ 生産作業者の雇用計画の決定 ⑥ アウトソーシングの決定 ⑦ 部品、原料の調達先の決定 ⑧ 配送センター(倉庫)の位置の決定 ⑨ 配送センター(倉庫)内のレイアウトの決定 ⑨ 運搬車の台数の決定/購入計画の決定 ⑩ 運転手の雇用計画の決定 | 経営層 /経営企画 | ・需要予測システム ・物流ネットワーク設計システム |
中期的(:戦術的) | ① 月次(週次)の生産計画の決定 ② 月次(週次)の輸送計画の決定 ③ 輸送モード(トラック/船舶/鉄道/航空)の決定 ④ 輸送量と輸送頻度の決定 ⑤ 混載戦略の決定 ① 倉庫内の保管場所の決定 | 部門長 | ・ERP/MRP/DRP/PDM・PLM ・POS/会計情報システム ・生産計画システム ・輸送計画システム |
短期的 | ① 日次の生産スケジュールの決定 ② 日次の配送計画の決定 ③ 日次の運搬車スケジュールの決定 ④ 倉庫ピッキングのスケジュールの決定 | 工長 /職場リーダー | ・PDM・PLM ・生産管理システム(MES等) ・生産スケジューリングシステム ・配送計画システム ・在庫計画システム |
目的による分類方法
先ほどは、製造業の業務範囲からITシステムを分類しました。製造業を支援するITシステムは、このほかにも目的別に分類することもできます。ここでは、以下の2つに分類し、それぞれ説明します。
① 日々の運用を管理するため
② 分析や予測を行うため
日々の運用を管理するためのITシステム
このグループには、マニュアル作業をITシステムに置き換えたものが当てはまります。処理的システムともいわれ、 大量の情報を迅速かつ正確に処理することが特徴 です。
このグループに当てはまるITシステムには、以下のようなものがあげられます。
代表例:ERP、MRP、DRP、給与システム、会計システム、POSシステム など
分析や予測を行うためのITシステム
このグループには、人工知能やシミュレーションといったデジタル技術を用いて何らかの意思決定を支援するものが当てはまります。解析的システムともいわれ、数式や数理的なモデルを通じて、 設備配置や人員編成などの決定事項における最適なプランを導出することが特徴 です。
このグループに当てはまるITシステムには、以下のようなものがあげられます。
代表例:生産シミュレーション、CAE、AI
まとめ
本記事では、製造業で使用されるITシステムについてその分類と代表例について整理しました。次回のブログでは、今回取り上げたシステムのうち「生産シミュレーション」に注目し、その分類や特徴について整理します。