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シミュレーションとは?シミュレーション技術の分類について解説
執筆者:レクサー・リサーチ マーケティング 山上玲奈(やまがみ れいな)
無料ガイド: 製造業の生産性を低下させる要因とITソリューションができること
前回は製造業で使われるITシステムについての分類を整理しました。今回は、その中でもシミュレーション技術に注目し、そもそもシミュレーションとは?シミュレーションの技術の分類とは?について整理・解説します。
シミュレーションとは
シミュレーションをひとことでまとめると、対象となるシステムのモデル(模型)を使って模擬実験を行い、問題解決に役立てること と言い表すことができます。
シミュレーションの対象となるシステムには、生産活動の他に物流や人の動き、空気の流れがあげられますこれらのシステムのほとんどは単一の方程式で行動が表されるものではなく(渋谷のスクランブル交差点での人の動きイメージしてみてください)、解析をすることが難しいといわれています。
そのようなシステムに対して、模擬的に同じ動きをするモデルを作成してパソコン上でその対象を再現してしまおう、というのがシミュレーションであるというわけです。
シミュレーションは、製造業のみならず多くの分野で活用されている技術ですが、生産システムにその対象を限定する場合は「生産システムシミュレーション」「生産シミュレーション」とよびます。
モデルとは
シミュレーション技術におけるモデルとは、ある構造やシステムを小さくし、詳細を省き、その複雑さを整理して単純化・抽象化したものとまとめることができます。
例えば、シミュレーションの対象が渋谷のスクランブル交差点だとします。スクランブル交差点そのものをミラーリングしたものが、1番抽象度が低いモデルです。それよりは、抽象度を上げ人の動きに着目したものが抽象度 中のモデルになります。さらに抽象度を上げると数式で表されるレベル(抽象度 高)にまでなります。
シミュレーションの主な利用目的
上記でシミュレーションは問題解決に役立てるためにあると説明しました。その具体的なシーンは以下のようなものがあげられます。
1. 理解・説明
2. 予測・リスクヘッジ
3. 教育・訓練
4. エンターテインメント
このうち、生産シミュレーションの利用目的は主に1~3になります。
シミュレーションの分類
シミュレーションは、それに使われている技術とモデルの形という2種類の方法で分類することができます。
シミュレーション技術による分類
対象となるシステムの特性、あるいはシミュレーションの目的や抽象度によって、使われるモデルの技術が異なってきます。ここでは、以下の4つの分類について紹介します。
- システムダイナミクスモデル
- 待ち行列モデル
- セル・オートマンモデル
- マルチエージェントモデル
システムダイナミクスモデル
微分方程式/差分方程式の集合。方程式間の相互依存関係を以下のようなフローで表すもの
待ち行列モデル
待ち行列型モデルの混雑現象を分析・評価するためのシミュレーション。システムの状態変化を起こす出来事を事象(:イベント)について表現する。離散事象システムを対象とするので、離散事象(型)シミュレーションとも呼ばれる。
セル・オートマンモデル
一様なグリッドで表現された空間において、時間ステップごとに時間が進行する世界/システムのモデル。各セルの状態が近傍のセルにある一定のルール移動することでシステム状態変化を表す。
マルチエージェントモデル
自律的に判断して行動する「エージェント」で構成され、エージェント同士が相互作用する集団の動きをシミュレーションする。
これら4タイプの分類をまとめると、以下のように示すことができます。
タイプ | 適用領域 | 得意分野 |
システムダイナミクスモデル | 人口・経済・政治の数理モデル | 方程式で表現できる状態変化 |
待ち行列モデル | ビジネスプロセス、物流、生産システム | モノ・情報の流動や滞留
|
セル・オートマンモデル | 伝染病の伝搬モデル、交通渋滞モデル | 伝搬・拡散 |
マルチエージェントモデル | 社会経済システム、先物取引市場モデルなど | 集団活動 |
モデルの特徴による分類
シミュレーションで扱うモデルの特徴についても分類をすることができます。ここでは、以下3つの分類方法について取り上げます。
1. 静的・動的モデル
2. 連続型・離散型モデル
3. 確定的・確率的モデル
静的・動的モデル
静的シミュレーションとは静的モデルを使ったシミュレーションのことであり、同様に、動的シミュレーションとは動的モデルを使ったシミュレーションのことです。
静的モデルと動的モデルとでは、「時間」の果たす役割が大きく異なります。静的モデルでは時間は本来の役割を果たしませんが、動的モデルでは時間は本来の役割を果たします。
静的モデル
静的モデルでは、例えば製品出来高やリードタイムなどの生産システムの状態が、時間、設備数、設備能力などの入力パラメータの関係式として表されており、入力パラメータを設定すると求める変数の値が直接計算できます。Excelなどのスプレッドシートで関数を用いて行う計算がそれにあたります。
動的モデル
動的モデルでは、時間進行とともにシステムの状態が変化し、ある瞬間の状態から次の瞬間の状態を計算します。動的モデルでは、このように時間本来の持つ役割に従ってシステムの状態を変化させていくことが出来るため、周期性のない事象や不確実性の高い事象(確率事象)を扱うこともできます。そのため、生産システムのシミュレーションには動的モデルが使われます。
連続型・離散型モデル
連続型モデルを使ったシミュレーションを連続型シミュレーションと呼び、離散型モデルを使ったシミュレーションを離散型シミュレーションと呼びます。連続・離散どちらも動的モデルですが、連続型と離散型とでは「時間」の進み方が大きく異なります。
連続型モデル
連続型モデルでは、システムの状態が時間とともに共にたえず変化します。例えば、貯蔵タンクに水が流入・流出するときの水位などが挙げられます。連続型モデルでは、システムの状態が時間をパラメータとした微分方程式で表されるケースが多くあります。
離散型モデル
生産システムでは、ある特定の時刻に部品が到着・出荷したり、機械が故障・復旧したり、加工が開始・終了したりするように、時間の離散的な時点でのみ変化が生じます。このように離散的な時間でシステム状態を変化させるモデルを離散型モデルと呼んでいます。生産システムを扱うシミュレーションの多くは離散型モデルを使用しています。
確定的・確率的モデル
比較的単純なシステムであっても、不確定な要因が加わるとシステムの挙動を予測することが困難になります。確率的変動要因(設備が故障、作業時間の変動、需要の変動など)を含んだシミュレーションを行い、さまざまな状況をシミュレーションで再現することによって、システムの挙動を理解することが出来るようになります。
確定的モデル
データの確定値があらかじめ分かっており、因果関係が一意に決定されるモデル。
例えば、下図の生産ラインの流れの時、それぞれの作業時間が一定であれば生産時間は単純に計算することができます。
確率的モデル
データが不確実性を持ち、確率的な情報として与えられているモデル。
例えば、下図の場合は「設備2」で作業時間にばらつきが発生しているため、単純な計算で予想することはほぼ不可能になっています。
まとめ
本記事では、シミュレーションとは から始まりシミュレーションの分類について整理しました。生産システムのように様々な要素が関係し、確定的な動きをしない対象についてシミュレーションによる分析が有効であることがイメージできましたら幸いです。
レクサー・リサーチでは、離散型&動的シミュレーションが可能な生産シミュレータGD.findi MS を開発・販売しております。GD.findi MS は生産システムに特化された離散型シミュレーションであり、工場内のモノの流れにおけるシミュレーションを行うことが可能です。
また、次回は生産シミュレーションの特徴、できることについてご紹介いたします。