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生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

執筆者:レクサー・リサーチ マーケティング 山上玲奈(やまがみ れいな)

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生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

前回は製造業で使われるITシステムのうち生産シミュレーションの技術に着目し、その意味から分類について紹介しました。本記事では、生産シミュレーションのできることや活用の狙いについて基礎から解説いたします。

生産シミュレーションが求められる背景

生産シミュレーションが求められる背景には、生産準備段階における業務的な特徴と現代ならではの2つの要素があります。

生産準備業務の性質に関係するもの

工場の「レイアウト設計」や、生産ラインの「工程設計」は、その設計段階ではそれ自体には問題が見えません。しかし、それを実際に生産する段階になると、人や資源、時間といった制約や制限によって個別の設計では見えなかった隠れた問題(暗黙の問題)が発生します。このことが、生産性の低下の大きな原因となります。

 

このような状況に対して、生産シミュレーションを用いることで暗黙的な隠れた問題を、「見える化」して事前に問題を除去・対応することができるといえます。

生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

現代の製造業がおかれている状況に関係するもの

また現代ならではの要素として、生産システムが複雑化・高度化しており、製造業がおかれる状況の不確実性が高まっていることもあげられます。

 

多品種少量生産や自動化機器の広まり、需要変動がすぐに変わる/読めない 等、従来通りでは立ち行かない状況も少なくありません。そうした状況に対して、予測や分析ができる生産シミュレーションは有効であるといえます。

生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

生産シミュレーションができること

分析

生産シミュレーションができることと言っても、その利用目的によって表現は変わりますが、ここでは以下のように整理します。

 

“生産シミュレーションは動的な生産システムを模擬的に再現し、そのふるまいを「見える化」するだけでなく、生産高や稼働率、製造リードタイムを数値化して出力します。そのことで、ライン・工程設計における意思決定を支援します。

生産シミュレーションは生産システムをどのように捉えているのか

生産シミュレーションでは、工程を一つの待ち行列システムとして捉え、生産システム全体を待ち行列システムのネットワークとして考えます。(学術的には「開放型待ち行列ネットワーク」と呼ぶ)

 

その上で、生産シミュレーションは主に以下の2つの挙動を実行します。

・待ち行列システムとして、工程・作業を扱い動かす

・動的に発生する停止を再現する

生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

待ち行列システムとして工程を動かす について

これは、工程(もしくは作業)を待ち行列と同じとみなすことです。設備で行う加工作業をイメージするとわかりやすいですが、その工程を分解すると
・部品が設備に到着する

・到着した部品は加工されるのを待つ

・順番が来た部品が加工される

・次の工程に移動するまでの順番を待つ

・次の工程に移動する(:はじめに戻る)

というように、部品が並ぶ待ち行列として表現できることがわかります。

 

またこの「待つ」状態によって、モノ待ち・ヒト待ち・指示待ちといった予期できない滞留を表現・計算することができます。

生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

動的に発生する停止 について

生産システムにおける停止は主に以下のように分類することができます。

区分

停止の種類

停止の要因

動的に発生

搬送の停止

搬送キャリアの停止

渋滞による停止

搬送キャリアのトラブル等による停止

搬送キャリアの計画停止

 

工程の停止

加工前の停止

待ち行列における加工順番待ち

加工中の停止

加工設備のトラブル等による停止

加工設備の計画停止

 

加工後の停止

待ち行列における搬送順番待ち

このうち、動的に発生する停止についてはExcel等で計算することは難しいものであり、生産シミュレーションが効果を発揮する分野になります。

まとめ

生産シミュレーションができることとは?シミュレーション活用の効果について基礎から解説

本記事では、生産シミュレーションができることについて基礎から整理し解説しました。生産シミュレーションを活用することで、不確実性が高まる現代においても迅速に意思決定を行うことができるといえます。

 

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