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【ゼロから解説】セル生産方式とは?ライン生産とのちがいは?
本記事では、「セル生産方式」について、その意味からライン生産方式との違いについてご紹介いたします。
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セル生産方式とは
セル生産方式とは、1人または少人数の作業員がセルと呼ばれるラインで製品の組み立て工程を完了し、部品や工具をU字型などに配置した生産方式です。
従来の大量生産型製造で採用されていたライン生産方式は、単品の大量生産には適していましたが、さらに別の段階に分割できる組立作業には適していませんでした。分業が促進されるほど、仕掛品在庫は投入から完了まで増加します。
セル生産方式は、作業者が1つのタスクから別のタスクに移動するのにかかる時間を短縮することにより、仕掛品の在庫を削減する生産方法です。これは、(1)作業時間と(2)部品保管場所から職場までの距離を短縮することに重点を置いています。セルのコンセプトでは、少数の労働者が原材料、半製品、完成品をセルで処理します。各作業者は1つ以上のタスクを処理し、完了に向けて段階的に進むにつれて順番にそれらを渡し、使用可能なスペースの高度な有効使用と効率的な資材移動を実現すると同時に、仕掛品の在庫を最小限に抑えます。
セル製造システムは、自動車や自転車、事務機器、電子機器、電子部品など、幅広い製品の製造に使用されています。
セル生産方式で組立作業を行う作業員は、L字型のケージ仕切りエリア内で1日2〜3時間作業します。他の労働者は、労働者が働いているケージエリアには立ち入りません。この期間中、作業は1つのタスクから別のタスクに順番に進行します。これは、1シフトまたは最大で10日週または10週月の1日と見なすことができます。この状況は、1つのシフトオペレーティングシステムを使用する工場に似ています。
セル生産方式のメリット
セル生産方式には以下の利点があります。
1.多品種少量生産に適しています
各セルは独立したラインと見なすことができるため、各セルで異なるアイテムを生産することにより、さまざまな製品を少量生産することが可能であり、その結果、多くの場合と比較してセットアップの変更回数を減らすことができます。アイテムは単一のラインで生産されます。
2.仕掛品在庫の圧縮
セル内での組み立てが完了するため、工程間の仕掛品在庫が大幅に削減され、それに応じて製造時間を短縮できます。
3.単価の削減
製造コストが比較的高くてもセル方式を採用できます。単体生産や小ロット生産などのメリットを生かし、セットアップコストや作業時間を増やすことなく、製品の単価を下げることができます。
4.メンテナンス性と修理性
セルシステムは、簡単なブレイクアウト方式で不良部品を除去できるため、従来のユニット方式に比べて製造時の補修速度を上げることができます。
5.エネルギー消費と環境汚染の削減
製品を切り替える際に各マシンを場所間で移動する必要がないため、セルシステムのエネルギー消費量は、従来のユニットベースのシステムに比べて削減できます。さらに、製品は別々の小さなセクションで生産されるため、独立したセクションで一度に1つの生産プロセスを実行することが可能です。したがって、廃水やほこりの処理による環境への悪影響を大幅に減らすことができます。
上記のようにメリットは数多くありますが、一方で、セル生産方式を実現するためには、一人あたりの作業範囲が広くなるため、作業者が高いスキルレベルを有した多能工になる必要があります。作業者への教育時間がかかるため、作業者が頻繁に入れ替わるような流動性の高い環境には適しません。
セル生産方式とライン生産方式の違い
ライン生産とセル生産には、いくつかの違いがあります。
一人当たりの作業範囲の違い
セル生産方式では、一人が複数の作業を担当するため、ライン生産方式と比較して、作業者一人当たりの作業範囲が広くなります。一方、セル生産方式では、ライン生産方式と比べて少ない人員で回すことができます。
技術継承の難易度
セル生産方式は、作業員の「多能工化」が前提となります。つまり、従業員の新人教育に多くの時間がかかることになってしまいます。一方、ライン生産方式では、作業者に多能工化は求められないため、教育にはあまり時間を要しません。海外の大きな工場では、ライン生産方式が一般的であるのは、このためであり、技術継承の難易度としてはセル生産方式の方が高いといえます。
多能工化とは
多能工化とは1人の従業員が複数の業務を担うこと、そして複数の技術を持つことを指します。 多能工は「マルチスキル」「マルチタスク」とも言い換えることができます。
ダイナミックセル生産方式とは
インダストリー4.0のダイナミックセル生産システムは、従来の最高の生産システムの開発の一形態であると言えます。ラインはいくつかのプロセスに分割されており、各プロセスを担当するロボットがクラウド内のさまざまな情報にリアルタイムでアクセスし、それに応じて生成します。生産ラインの変更のしやすさは、従来のセルシステムから受け継いだコンセプトであり、一から作るのではなく、個々のモジュールをリバースエンジニアリングした後でも、大量生産と同じスピードで生産できるのが強みです。
ダイナミックセル生産システムを使用する業界の最良の例の1つは、モーター製造です。自動車メーカーが新しいモデルを生産する必要があるとき、それは単に最高の大量生産ラインを組織し、これらのラインで新しい車を生産するだけです。このように、各モデルに必要な部品を決定するのは費用のかかるプロセスかもしれませんが、これは、毎回の生産ラインのセットアップと調整にかかるコストの節約量によって相殺されます。
同じ概念が、化学工場やガラス加工工場などの他の製造プロセスにも当てはまります。短期間でお客様のご要望に応じてフィールドを調整することができます。現在のセル生産システムでは、まったく新しい製品に対する顧客の要求の変化に適応できませんが、ダイナミックセル生産システムでは、生産ラインを簡単に調整して、生産する製品のニーズに応じて原材料を提供できます。
ダイナミックセル生産方式を使用することには利点があります。従来の大量生産によって生成されるものよりもマスカスタマイゼーションによる幅広い顧客の選択が可能になることです。
今までは大量生産の反対と見られてきましたが、近年では一般的に活用され始めています。
まとめ
セル生産では、ライン生産方式と比較して、低いコストで多品種少量生産に対応できる等のメリットがある一方で、新人教育が難しいといったデメリットもありますしかし、どちらのプロセスを選択する場合でも、忘れてはならないのは、提供しようとしている製品やサービスの種類と、それが顧客のニーズに合致しているかどうかということです。生産方式を選択する際は、生産量や需要変動も加味して選択することが重要となります。
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著者情報
山上 玲奈(株式会社レクサー・リサーチ マーケティング担当)